MHRの雑談部屋

日常を書き記すお部屋。

墓標 2

「墓標 〜終わらない物語〜」

music:「凋叶棕」墓標
story: 蓬莱人形 C-62


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ボクこそが、最後の勝者なのだーー。

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正直者のいなくなった楽園。惨劇の記憶は、もはや誰の心にも残っていなかった。

ただ、ひとりを除いてーー。

そう、これは、”心”に刻み込む、墓標。

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ああ、もう、そこには誰もいないんだ。

だから、

もう、そこには君もいやしない。

そこに、ただ在るのは。

二度と生を刻むことのない骸ーー。

彼らの希望の楽園は、ただひとりの手によって、絶望のラクエンへと堕ちた。
そのピエロの心の奥に刻まれた墓標は、永遠に消えることはない。

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1.
首と体とは離れ離れにーー。

この瞬間から、僕は死を刻み始めた。僕は、目の前にあった”蓬莱の玉の枝”にすべてを奪われてしまったんだ。
その枝の姿は、まるでピエロだった。

永遠の復讐を誓い、僕は勝者への絶望(プレゼント)を作り出す。

受け取ってよ、ほら。仲間に戻ろう?

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3.
知らぬ者について行く報いーー。

僕は、土砂降りの雨の中、巫女に心を動かされ、ついて行ったんだ。

そうしていつか、巫女の姿は消えてしまった。代わりに現れたのがピエロだ。
そして僕はそのピエロに連れ去られ、常闇に閉じ込められた。

そのまま、僕は永遠の暗闇に落ちた。

お前も、暗闇へ落ちろ!

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4.
若き過ちは止められないーー。

あの時、僕はとても退屈だった。みんな、お酒とかいうものを飲んでいる。どうやら僕は飲めないらしかった。他に食べ物も飲み物もなく、暇を持て余していた。

そして、みんなの目を盗み、僕は外へ出た。

でも、忍び寄る影には気づけなかった。

そうして僕は最初で最後の過ちを犯したのさ。

でも、もう大丈夫だ。暇なんて腐るほどある。幸福ならいくらでも作り出せる。

さあ、勝者には、最高の絶望を捧げよう。

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5.
出口は永遠にーー。

こんな恐ろしいところには、もはや、一刻たりともいられない。

僕はその思いに身を任せ、森の中を走り回っていたんだ。でも、いくら走っても楽園の出口は見つからなかった。

そうしてその足を。
自ら死地に追いやる愚か者と化すはずだったのに。

僕は生まれ変わってしまった。神は僕に微笑んだ。

さあ、敗者には 死 を贈ってやろう!

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6.
暗闇から抜け出せないーー。

僕ら5人は暗闇にいたんだ。ピエロにさらわれたんだってね。この時もう僕はわかっていたよ。誰が”ピエロ”なのかね。
そして、彼らは脱出計画を企てた。成功するに決まっている。閉じ込めた彼自身がここから出ようとしているのだからな。

でも、僕は逃げなかった。逃げることは愚かだと言われていたから。それは僕が最も聡明であるからこそ。

そうして予想に反し、計画は成功に終わり、ピエロは僕の背後から、魔法をかけた。

そう、永遠に闇へ葬る呪い。

その魔法、貴様にも刻んでやる!

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10.
偽りの惚れ薬ーー。

僕は、幸福に命を奪われた。苦かったコーヒーが、わずかに甘かったことには気づけなかったのだ。

まさか惚れ薬だとは思わなかったよ。
こうして僕はピエロに恋して幸せに死んだんだ。

ーー絶望への惚れ薬は、いかが?

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11.
見たーー。

ああ、僕は見てしまった!仲間が殺されていくさまを。
もう、僕も殺されるだろうと思いながら、必死に犯人を探していたんだ。
僕は最も警戒心が強かったから、部屋も分けて、食事も自分で用意した分しか食べなかった。

そして、いつかの夜、僕は四肢の痛みで目を覚ました。釘を打つ音が大きく聞こえ、そのリズムと同じ速さで僕の体が痛んだ。

そうして僕は気づいたんだ。体に釘が打たれていることにね。

いつしか、最後の釘が眉間に当てられた時...。

勝者の顔が、見えたんだ。

さて、勝者には釘を打たなくちゃね...?

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12.
早起きは三文の得ーー。

誰よりも早く起きた僕は、誰よりも早く眠りに落ちたんだ。そう、永遠に。
きっとハムエッグに何か盛られたに違いない。
僕は今でも後悔している。なぜ、二人になるまで気づかなかったのか、とね。
こうして、僕を含めた正直者はすべて消えた。残った1人は、すでに正直者ではなかった。

さあ、君の食事にも恐怖をかけよう。

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首と体とは離れ離れ。
幸福の傍、磔にされ。

そして、僕といえば、
二度と地を踏むことさえない屍。

足を踏み入れた蓬莱の地に、僕らの楽園を夢見たのに!

ああ、僕らは、何も知らなかったんだ。
何もかもが嘘つきのこんな幻想郷(じごく)があることを。


ああ、何を違えてしまったのか?
僕らはきっと仲良く生きていけるはずだったのに!

ーせめて、君がいさえすれば...

そんな思いをかき消して。

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ああ、きっと、ボクが、最後の勝者なのだ...。
愚か者どもの末路を、その正義の証として。

そして誰もいなくなる.....。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


前に


これは、心の最奥に刻み込む、墓標。
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疑いもせず、手に取る報い。
好奇心こそ、最大の敵よ。


(**、刻ま****だ、******。)


ひとり夜歩き、忍び寄る影。
幼さゆえに、気づけずにいたか。


(そう、刻ま****だ、ひと****。)


足掻くことさえ、試せぬほどに。
聡さとは、愚かさと同義か。


(そう、刻まれ***だ、ひとり***。)

 

恋の苦さ と 命の甘さ。
大人の味は油断大敵。


(そう、刻まれる*だ、ひとりひと*。)


一夜限りの、丑の刻参り。
警戒など、意味のない世界。


(そう、刻まれる**だ、ひとりひとり。)


最期にしては、粗食にすぎたか。
早起きにして、六文の得。


(**、*******、******。)

 


正直者が、馬鹿を見るのだ。

臆病者に、進む道なし。

 


(そう、刻まれるべきだ!ひとり、ひとり!)

 

ああ、何を、違えてしまったのか。
僕らはきっと仲良く、生きていけるはずだったのに。

ああせめて、君がいてくれたなら。
最後の”正直者”を信じられたかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

などと、馬鹿めが!
世迷いごとに沈め!

”正直者が、馬鹿を見る”


もしそれが世界の理(ルール)なら。

 


ああ!ボクこそが、真の、最後の勝者なのだ!


その真実を噛み締めて、今、楽園を後にして。
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墓標に刻んだ数だけ、

胸にこみ上げる、

勝利の余韻に、

 

 

嗤う。
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つづく。かも。