MHRの雑談部屋

日常を書き記すお部屋。

墓標


「墓標 〜始まってしまった物語〜」

music:墓標
story:蓬莱人形

ほとんどアレンジしてないけど気にせずに。
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正直者たちの迷い込んだところは楽園か、それとも.....。

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ある村に、八人の正直者たちがいた。その八人は、いつでも、行動を共にし、誰も嘘をつくことは無かったという。村人は、この八人だけ。

そして、いつの日にか、彼らは引越しを考えた。東の村に引越したのだが、そこにはこれといって有名なものもなく、ただただ退屈な毎日を過ごしているだけだった。
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Ⅰ.
そう、僕たちは正直村の八人の仲間たち。東の村は何もない。ああ、退屈だ。

そんな日々を過ごしていると、村でただ1人の少女が、ある桃の木の下に小さな穴を見つけたのだ。

「ねえねえ、この穴の奥に光があるよ?」

冒険心に体を任せた僕らは、その穴に飛び込んだ。そうして、僕らはこの楽園に迷い込んだのだ。


そして、僕はさっそく、人間をやめた。

 

楽園のとある森の中。最も好奇心の高い僕は、この妖しげな楽園に心を惹かれ、その森を歩き続けていた。

突然、目の前にピエロが現れたのだ。
そして、嬉しそうな笑顔を見せながら僕に美しい玉の枝を渡そうとしてきた。

訝しげに思いながら、僕はそれを受け取ろうとしたところ、一瞬で首と身体が離れた。

こうして、僕は二度と仲間には会えなくなったのだ。

残りの正直者は、7人。

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Ⅱ.
神社から、その様子を見ていた巫女は無感動な表情でつぶやいた。

「あら、あの子...人間でも妖怪でもないみたい?」
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Ⅲ.
雨は止まず。さっき現れた巫女に、どこかついてこいと言われたような気がして、後に続いたのだが、気づいた時には巫女の姿は無かったのだ。

そうして雨の中から現れたのがあのピエロだ。僕はそのピエロに連れ去られ、僕らのところに戻ることは出来なかった。遠い暗闇に、永遠に閉じ込められて。

残りの正直者は、6人。

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Ⅳ.
その日の夜、僕らは外国風のパーティをやったんだ。でも、最も若い僕は、お酒を飲めなかった。とても、退屈だった。それゆえに、僕は館からこっそり抜け出した。

そして、雨の中から現れたピエロに、僕は息の根を切られた。もう二度と、退屈することはない。

残りの正直者は、5人。
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Ⅴ.
最も臆病で、足の速かった僕は、いち早くこの楽園から逃げ出そうとしていた。
何か、危険を察知したのだ。そして何より、怖かったのさ。これくらい予想していたことだけど、いくら走っても帰り道を見つけることは出来なかった。

僕は失望して、縄に首をかけた。
.....でも、この楽園からは逃げ出せなかったのだ。

そして僕は生まれ変わった。


残りの正直者?は、4人。
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Ⅵ.
目が覚めると、僕ら5人は暗闇にいたんだ。ある1人が言うには、僕らはピエロにさらわれたらしい。
4人は脆弱で幼稚で困難な脱出計画を立てていた。最も聡明な僕は、それを止めさせようとしたが、ついに口に出さなかった。
そして、とうとうその計画は成功したのだ。
僕は永遠に闇に取り残されることになった。そして、ある時、背後に気配を感じた。ただ身を任せていると、背中に熱いものが伝った。
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Ⅶ.
僕らは見事に脱出したんだ。なんと賢いのだろうと思った。
誰もお互いを疑うことなんて考えたこともなかったのさ。

みんな正直者だったんだーー。
みんな仲良しだったんだーー。


ここは、本当に楽園なのだろうかーー。
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Ⅸ.
僕らの住処である屋敷に戻っても、そこにはかつてあったような活気は消え去っていた。
いつも用意する食事も、いつの間にか半分になっていた。

ああ、正直者は半分に。
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Ⅹ.
午後はいつもティータイムと決めていた。いつもならただ苦いだけのコーヒーが、この日はどこか甘かった気がしたんだ。

ああ、まさかそれが、惚れ薬ーLove portionー入りだったとはね。

最も大人びた僕は、美しきピエロに恋し、幸せのままに眠りに落ちたんだ。

残りの正直者は、3人。
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Ⅺ.
ああ、僕は見てしまったんだ!仲間が、幸せに命を消していく姿を。
あれは自殺のはずがない。コーヒーは僕が適当に選んで部屋に配ったんだからな。
もう誰も信じられず、最も警戒心の強い僕は、自分の用意した食事以外は口にしなかった。
僕らは別々の部屋に寝た。2人のうち、ある1人を僕は疑っていた。

そうしていると、どこからかすぐ近くで釘を打つ音が聞こえてきたんだ。一体どっちの仕業だろうと恐怖に心を支配されていた。音に合わせ、僕の身体も痛み出した。まるで、五寸もある釘を打たれているように。

ああ、そうだ、忘れていた。

僕が、木に”打ちつけられて”いたんだった。どっちが打ちつけているのだろうか?

 


そして、最後の釘が、僕の眉間に当てられる。
そこには、予想通りの顔が見えた。

声を出す間も無く、光は完全に消え去った。

 


あと、二人。
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ああ、君は余りにも腑抜けだったのだ!
正直者が馬鹿を見るということがわからないのか?
それとも、楽園に心を奪われて感覚が鈍ったか?
僕は、前みたいに仲良く楽しく暮らしたかっただけなのに。
一仕事終えた僕は”朝食”の準備をし、夜明けを待った。

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Ⅻ.
最も早起きな僕の意識は、すでに虫の息だった。今朝のハムエッグに何か盛られていたのだな。なんて僕は馬鹿なんだろう?二人になるまですべてがわからなかったなんて。
全部あいつの仕業だったんだ。分かったときに殺しておくべきだった。

楽園に入ったとき、もう、引き返すには遅すぎたんだ。

そうして僕は暗黒にとらわれ、二度と起きることはなかったのさ。

ああ、一人?

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XIII.
あれから生まれ変わった僕は、昨日は強烈な睡魔に襲われた。頭が割れるように痛かったんだ。何も思い出せない。
なんてことだ。一人はコーヒーに毒、一人は木に打ちつけられ、一人は首をはねられていたなんて。

僕はイスと縄を用意して最後につぶやいた。
最後に死んだとしたら、コーヒーで死んだやつしかありえない。
つまり、そういうことなのか?

そういうことなのだろう。僕の夕食にも何か盛られていたようだ。

もう、どうでもいい。こんな嘘つきだらけの世に、未練などこれっぽっちもない。
僕は丈夫な縄を天井にかけ、高いイスを蹴った。

今度こそ、二度と体は地面に着くことはなかった。

正直者は、全員消えた。 .....?
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私は名も無き巫女。いつもこの楽園の管理をしているけれど、今日は一段と不思議なやつを見かけたわ。

楽園の奥にある廃屋敷から一人の少女が出てきたの。私はそれをどこかで見たような気がするのだけど...。それを思い出そうとするほどの元気はないのよねぇ...?

んで、その少女は私にぺこりと頭を下げて、大笑いしながら楽園の出口へ向かったわ。

そういえば、あの子は正直者たちで唯一の女の子だったわね。どうでもいいけど。

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楽園である幻想郷(げんそうきょう)では人間の数が8人ほど減り、7体が妖怪に持っていかれた。幻想郷は正直者を永遠に失った。

そんなことは、ただの数値の変化にしか過ぎないのだ。話題にすらならない。

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つづく